桃の花の花言葉を徹底解説|歴史や神話についても紹介

桃の花の花言葉を徹底解説|歴史や神話についても紹介
春の訪れを告げ、3月3日の雛祭りを可憐に彩る「桃の花」。 その愛らしい姿から、「チャーミング」といった花言葉がよく知られています。
しかし、その一方で、桃の花が「天下無敵」という非常に勇ましい花言葉も持っていることをご存知ですか?
一見すると可愛らしい桃の花が、なぜこれほど力強い意味を持つのでしょうか。 この記事を読めば、「桃の花言葉」の本当の意味から、なぜ桃が古来より神聖な存在とされてきたのか、その背景にある「壮大な歴史と神話」まで、すべてがわかります。
&YOUKAENが、桃の奥深い魅力をご紹介します。最後に桃のお花の商品も紹介いたしますので、ぜひご覧くださいませ。
桃ってどんな植物?基本情報について

まずは、桃という植物の基本的な情報から見ていきましょう。
桃ってどんな木?
| 植物名 | 桃 |
| 学名 |
Prunus persica |
| 科名 | バラ科 |
| 属名 | スモモ属 |
| 原産地 | 中国・ペルシア |
桃は、バラ科モモ属の落葉中高木です。実は、梅、桜、杏(あんず)など、春を代表する花々とは非常に近い親戚関係にあたります。
観賞用の花が美しい「花桃(はなもも)」と、美味しい果実がなる「実桃(みもも)」に大別され、私たちを楽しませてくれます。
桃の名前の由来は?
その名前の由来には諸説あります。
・実が多いことから「多実(もみ)」が転じたという説
・実が赤く燃えるように見えることから「燃実(もえみ)」が転じたという説
・1つの木に多くの実がなる「百(もも)」から来たという説
などがあり、いずれもその豊かな実りに由来しているようです。
桃は英語でなんと言う?
果実のことは「Peach(ピーチ)」、そして花は「Peach blossom(ピーチ・ブロッサム)」と呼ばれます。
桃の花言葉とは?

それでは、本題である「桃の花言葉」を解説します。可憐なイメージと力強いイメージが共存しているのが最大の特徴です。
「チャーミング」「気立ての良さ」「私はあなたのとりこ」
これらは、桃の花言葉として最も有名です。
ふっくらとして愛らしい、柔らかいピンク色の花姿。その可憐な様子が、多くの人々を魅了し、「チャーミングな女性」や「気立ての良さ」を連想させました。
女の子の健やかな成長を願う「雛祭り」に桃の花が飾られるのも、このイメージにぴったりですね。
「天下無敵」
そして、この記事のもう一つの主役が、この「天下無敵」という花言葉です。
「なぜ、あんなに可愛らしい花に『天下無敵』が?」と不思議に思いますよね。
この勇ましい花言葉は、桃が持つ「魔除け・厄除け」の力に対する、古代からの強い信仰に由来しています。
その秘密は、私たちがよく知る日本の神話や、壮大な中国の神話に隠されていました。
桃の文化的な意味や象徴について

花言葉の背景には、桃が文化的にどのような存在であったかが深く関わっています。
桃は雛祭りのお花
雛祭りが「桃の節句」とも呼ばれるように、桃の花は欠かせません。
これには、3つの理由があると言われています。
1.時期的な理由:旧暦の3月3日頃は、ちょうど桃の花が咲く季節でした。
2.花言葉的な理由:「チャーミング」などの花言葉が、女の子の健やかな成長を願う行事にふさわしかったため。
3.魔除け的な理由:最も重要な理由の一つです。桃の持つ「魔除け・厄除け」の力(=天下無敵)で、女の子に降りかかる災厄を払い、健やかな成長を守ってもらうためです。
中国では「不老長寿」を象徴する
桃の原産地である中国では、桃は古くから「仙人の果実(仙果)」と呼ばれ、「不老長寿」や「不死」の象徴とされてきました。
桃を食べると仙人になれる、という伝説が数多く残されています。
「桃源郷(とうげんきょう)」から分かる通り幸福の象徴
中国の詩人・陶淵明(とうえんめい)の『桃花源記』という作品に、桃の花が咲き乱れる理想郷「桃源郷」が描かれました。
ここから、桃の花は「幸福な場所」「ユートピア」の象徴ともされています。
桃の歴史について

桃の「力」は、その長い歴史の中で培われてきました。
古代中国では霊木として重要視される
古代中国の民間信仰・風水では、桃は果実だけでなく「桃の木(桃木)」そのものが、邪気を払う「霊木」として神聖視されていたそうです。
桃の木で作った弓矢や杖(桃杖)が、悪鬼を祓うための神聖な儀式に使われていこともわかっています。
(参考元:Wikipedia「中国における霊的戦争」)
弥生時代に日本に伝来
日本にも桃は非常に古くから伝わっていました。
弥生時代の遺跡からも桃の種(桃核)が発見されています。
当初は食用ではなく、その硬い種が装飾品や呪術的な道具として使われていた可能性も指摘されています。
(参考元:岡山県「県内の桃核出土遺跡」)
古事記にも桃は登場!
「天下無敵」という花言葉の、日本における最大の由来がここにあります。 『古事記』の中で、イザナギノミコト(伊邪那岐命)が、亡くなった妻イザナミを追って黄泉の国(よみのくに)へ行きます。しかし、変わり果てた妻の姿を見て逃げ出すと、怒った鬼女たち(黄泉醜女)が追いかけてきました。
絶体絶命のイザナギは、そこに生えていた「桃の実」を3つ掴み、鬼女たちに投げつけます。すると、鬼女たちは恐れをなして逃げ帰っていきました。
この功績を讃え、イザナギは桃の実に「オオカムヅミノミコト(意富加牟豆美命)」という神様の名前を与えました。
「偉大なる神の霊力を持つ実」という意味です。 日本の神話において、桃は神として祀られるほどの「魔除けの力」を持っていたのです。
(参考元:古事記・現代語訳と注釈「イザナギを追うヨモツシコメ、黄泉比良坂の桃の実」)
平安時代には「上巳の節句」が行われる
平安時代ごろから、三月の初めに海や山に出て身の穢れを洗い流す儀礼が始まりました。
田の神様を迎えるために神で作った人形に穢れをうつして海や川に流したほか、中国思想の影響を受けて「邪気をはらい長寿を祈る」意味を込めて桃の花の入った桃のお酒を飲むようになります。これが後に「上巳の節句(じょうしのせっく)」として定着し、厄払いの行事を行うようになりました。
江戸時代に入ると紙の人形を流すと川が汚れてしまうことから行事が避けられるようになり、代わりにひな壇に人形を飾る「雛祭り」へと行事の内容が移行したという説があります。
(参考元:日本文化いろは辞典「上巳の節句」)
江戸時代に園芸文化が爆発!桃の栽培が広まる
江戸時代に入ると園芸文化が花開き、観賞用の「花桃」の品種改良が盛んに行われました。
庶民の間でも、雛祭りに桃を飾ったり、お花見をしたりする文化が広く定着しました。
(参考元:家庭画報「3月3日はひな祭り。桃の節句に飾る「花モモ」は、江戸時代からの品種です」)
現代では果実栽培として発展
現代では主に食用の「実桃」の栽培が発展していますが、もちろん「花桃」も変わらず春の象徴、そして雛祭りに欠かせない縁起物として私たちに愛され続けています。
中国神話『西王母の桃』

桃の「不老長寿」のイメージを決定づけたのが、中国の有名な神話『西王母の桃』です。
西王母(せいおうぼ)とは?
中国の神話に登場する、最高位の女神の一人です。崑崙山(こんろんさん)に住み、不老不死を司るとされています。
不老不死の果実「蟠桃(ばんとう)」
西王母は「蟠桃園(ばんとうえん)」という桃園を持っており、そこには特別な桃「蟠桃」がなっていました。
この桃は、3000年に一度、6000年に一度、9000年に一度しか実らず、それを食べると不老不死になれる、まさに「究極の桃」とされていました。
神々の宴会「蟠桃会」
西王母は、この蟠桃が実ると神々を招いて宴会「蟠桃会(ばんとうえ)」を開き、不老長寿の桃を振る舞ったとされています。
孫悟空と蟠桃
『西遊記』でおなじみの孫悟空は、天界でこの蟠桃園の管理人に任ぜられます。
しかし、つまみ食いどころか桃を食べ尽くしてしまい、不老不死の絶大な力を手に入れ、天界で大暴れするエピソードは非常に有名です。
&YOUKAENおすすめ!「桃の枝」で迎える華やかな春

桃の花の「チャーミング」な魅力と、「天下無敵」という奥深い歴史を知り、まさにその「桃の枝」を雛祭りや春のインテリアとして飾りたくなった方も多いのではないでしょうか。
桃の枝を飾る、本当の魅力
スーパーなどで見かける桃の花は、すでに満開に近いものも多いですが、お花屋さんの「桃の枝」を飾る醍醐味は、その「つぼみが膨らみ、花開くまでの過程(とき)」を日々楽しめることにあります。
固く閉じたつぼみが、お部屋の暖かさでゆっくりとほころび、淡いピンク色の花びらが姿を現す様子は、まさに春の息吹そのもの。
そして、この記事でご紹介した「魔除け」や「厄除け」の意味を持つ本物の桃の枝を飾ることで、伝統的な雛祭りをより一層深く、大切に迎えることができます。
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まとめ

桃の花の奥深い世界、お楽しみいただけたでしょうか。
1.「桃の花言葉」は、「チャーミング」といった可憐な意味と、「天下無敵」という力強い意味を併せ持っています。
2.「天下無敵」の由来は、日本の『古事記』で神の名をもらったほどの「魔除けの力」や、中国の神話で「不老長寿」の霊木とされた信仰にあります。
3.雛祭りに飾るのは、女の子の「可憐な成長」を願うと同時に、桃の「魔除けの力」で厄を払うという意味が込められています。
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◆修正履歴
2025年12月9日:参考文献・出典情報を追記。
Oct 29, 2025
