《Re:think “知ってる花”の、知らない横顔》vol.1 染めのチューリップ観察日記 ── 知っている春の花、その内側に触れる
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── 春の花、その内側をそっと覗く
春になると、自然と目に入ってくる花があります。花屋のディスプレイに並ぶチューリップも、そのひとつ。
あまりにも見慣れているからこそ、改めてじっくり眺めることは少ない花かもしれません。
そんなチューリップの中で、ふと足を止めてしまったのが「染め」のチューリップでした。
シックなニュアンスカラー。花びらに浮かび上がる、細い脈の線。
知っているはずの花なのに、どこか距離を感じるような、初めて出会った花のような佇まい。その違和感が、この企画のはじまりでした。
染めという技法が見
せてくれるもの

染めのチューリップは、切花に染料を溶かした水を吸わせることで、花びらに色をのせたものです。
正直に言えば、これまで染めの花には少し強すぎる印象や、人工的なイメージを持っていました。
けれど、実際に向き合ってみると、知っているはずのチューリップに、これまで気づかなかった新たな魅力が隠されていることに気づきました。
花は、茎の先から水を吸い上げて咲きます。その水が通る道筋に、染料がそっと残ることで、花びらの表面に模様が現れます。
そこに見えてくるのは普段は目にすることのない、花の内側の構造です。
染めは、色を足すための技法というよりも、花の生命活動を、可視化する行為なのかもしれません。
観察1日目|まだ閉じている、よく知っている姿

市場から届いたばかりのチューリップ。
遠くから見ると、やさしいアプリコットカラー。近づくと、淡いクリーム色の花びらに、セピア色の脈が浮かんでいます。

よく見ると、葉の先端や茎にも、ほんのりと色の名残。花の根本から覗くと、その線はよりはっきりと見えてきます。
寒い場所で保管していたため、花はまだしっかりと閉じた状態。私たちが「チューリップ」と聞いて思い浮かべる、いちばん馴染みのある姿です。
少しずつ、時間が動き出す
2日目
大きな変化はありませんが、花がわずかに緩み始めたようにも感じます。

脈の色は変わらず、静かにそのまま。
5日目
ようやく、はっきりとした変化が現れました。

花が開き、中心部が見えるようになると、これまで控えめだった花脈が、一気に存在感を増します。
水の通り道が、花びらの上にくっきりと浮かび上がる。花が「どうやって生きているのか」を、初めて見せてもらったような感覚でした。

一方で、一本の花びらの縁が少し乾き始めているのにも気づきました。数日、水替えと切り戻しができなかった影響かもしれません。
完璧ではない、その姿もまた、観察の一部です。
開いた花の中心には、めしべとおしべ。その周りに、小さな花びらのようなものが見えます。
八重咲きのチューリップは、もともとおしべが花びら化したもの。
花の中で起きた変化の名残が、ここに残っているのだそうです。
(参考:お花の解体図鑑
https://ohanazukan.com/tulip1.htm )
7日目
開き具合は大きく変わらず、今回の環境ではここまでのようです。(暖かい場所にあったものは花びらが反り返るほど満開になりました)

色に目を向けると、染めの印象よりも、チューリップ本来の色が、少しずつ前に出てきているように見えました。


調べてみると、染めの色は時間とともに淡くなることもあるそう。この変化も、その一つなのかもしれません。
知らなかった側面に気づかせてくれる「染め」

観察を続けるうちに、自分の花の見方が変わっていることに気づきました。
正面からの美しさだけでなく、茎の根元や、葉の先、後ろ姿。
これまで主役にならなかった場所に、自然と目が向いていたのです。
「染め」であることが、花そのものだけでなく、私たちの視野を少しだけ広げてくれた、そんな感覚が残りました。
知らない花が、知ってる花に
観察を重ねるうちに、最初は少し距離を感じていた染めのチューリップが、静かに身近な存在へと変わっていきました。
新しい春を、特別なものとして迎え、その特別さを、少しずつ日常へと戻していく。
春の花は、幼い頃から親しんできているが故に知っているつもりになりがちです。けれど、その内側には、まだ見たことのない表情が残っているのかもしれません。
この春、そんな花の横顔に、そっと目を向けてもらえたら。この観察日記が、そのきっかけになれば嬉しいです。
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Jan 19, 2026