ヒペリカムの花言葉と歴史を知ろう!

ヒペリカムの花言葉と歴史を知ろう!
みなさまはヒペリカムという植物をご存じですか?
名前を聞いたことはなくても、よくフラワーギフトをもらう方は「ああこれか!」と思うくらいには頻繁に使用される実ものです。
フラワーギフトの主役として使用されることはあまりない「縁の下の力持ち」な花材なのですが、実は人類の歴史に密接に関わってきた奥深い植物でもあります。
今回はヒペリカムについて詳しくご紹介。
花言葉から歴史まで事細かに紹介しますので、ぜひプレゼント選びのご参考にお役立てください。
ヒペリカムってどんな植物?

植物名 | ヒペリカム |
学名 | Hypericum |
科名 | オトギリソウ科 |
属名 | オトギリソウ属 |
原産地 | ヨーロッパ |
開花時期 | 6月~7月 |
ヒペリカムはなんと世界中に400種以上もある植物で、日本にも自生しています。
実がカラフルでツヤツヤとして可愛らしいので、主に実ものとして出回ることが多いのですが、花は綺麗な黄色のお花で華やかです。
フラワーアレンジメントや花束に頻繁に使用されますので「見たことある!」と感じる方も多いかもしれませんね。
ヒペリカムは古代から世界中で使用されてきた薬草でもあるので、人類の歴史に密接に関わってきた植物でもあります。
ヒペリカムの名前の由来は?

ヒペリカム(Hypericum)の名前の由来は、ギリシャ語の「hyper(上に)」と「eikon(像、霊、幽霊)」が合わさったものです。
これは「幽霊の上に置く」=「悪霊を退ける」という意味になります。なぜこのような名前が付けられているのかというと、ヒペリカムの花と葉っぱは古代から魔除けとして使用されていたためです。
ヒペリカムを家の戸口に吊るすと悪霊や邪気から守ってくれると信じられていました。また、薬草として服用すると「心の病気」の症状を改善する効果があったので、
オカルトと医療の境界が曖昧だった時代には「悪霊を払うお守り」として大変重宝されていたのです。
英語では「St. John's Wort(聖ヨハネの草)」

ヒペリカムは英語で「St. John's Wort(聖ヨハネの草)」と呼ばれています。聖ヨハネとはキリストの洗礼を施した人物のことです。
キリスト教では最重要の人物で、彼の誕生日は6月24日。この日は伝統的な祝日となっています。
さて、ヒペリカムは6月の下旬に開花を始めます。そのため、聖ヨハネの祝日に咲く草として「St. John's Wort(聖ヨハネの草)」と名付けられました。
ヒペリカムは古代から精神疾患に効果がある薬草だとされていました。当時は精神疾患を「悪霊の仕業」と考えていたため、ヒペリカムを使用すると症状が回復することから、
「聖ヨハネの加護によって悪霊を追い払った」とされ、魔除けの植物として知られるようになります。
日本では「オトギリソウ(弟切草)」のこと

ヒペリカムは日本でも重宝されていて、かつては「オトギリソウ(弟切草)」と呼ばれていました。ゲームのタイトルになっているので、名前を聞いたことのある方も多いかもしれませんね。
この名前の由来は古来の伝説によるものです。
あるところに鷹匠の兄弟がいて、兄は傷ついてしまった鷹の治療のために「秘伝の薬草(弟切草)」を持っていました。
薬効が非常に高かったため、誰にも知られてはいけない一子相伝の飛躍だったのですが、ある日弟がこの薬草の秘密を漏らしてしまいます。
怒ってしまった兄は弟を刀で斬り殺してしまった…、という内容です。
そのため、「弟切草」と呼ばれているのです。
ヒペリカムの葉っぱには黒い斑点があり、太陽に透かすと血が滲んだように見えることから「血痕」だとされ、古くから怪談のテーマになっていました。
また、茎をつぶすと赤い汁が出てくるため「血のようだ!」と不吉がられることも…。
ヒペリカムの花言葉は?

ヒペリカムの花言葉は「きらめき」「悲しみは続かない」です。前向きな花言葉が用意されているので、どんな方に贈っていただいてもOK!
「きらめき」という花言葉はツヤツヤとした実や、黄色いお花からイメージされたものだとされています。確かに、ヒペリカムの実は煌めいているのが特徴です。
「悲しみは続かない」という花言葉は、お花が散ってしまっても、すぐにツヤツヤの実が成ることから付けられた花言葉だとされています。
ヒペリカムの歴史は?

お花を良く知っている人にとっては「見慣れた実もの」といった印象のヒペリカムですが、実は古代から人間と密接に関わってきた植物です。
ここではヒペリカムの歴史について詳しく見ていきます。背景を知っていると、フラワーアレンジメントや花束などに入っているヒペリカムが一層愛おしく思えますよ。
プレゼントする際の話題にもお役立てください。
ヒペリカムは古代から「魔除け」の植物だった!?

紀元前の時代から、ヒペリカムは薬草や魔除けの植物として使用されてきました。
「医学の父」と評されるヒポクラテスや、ローマの博物学者であるプリニウスなどでも取り上げられている植物です。
「ヒペリカム(Hypericum)」という名前は「悪霊を退ける」という意味で、傷や火傷の治療の他、精神疾患の薬としても使用されていたため、そう名付けられました。
そのころは「戦場のハーブ」と言われていたようです。
「修道士の薬草」として重宝される!

キリスト教がヨーロッパに広まると「聖ヨハネの草(St. John's Wort)」と呼ばれるようになりました。これは6月24日の「聖ヨハネの日」にお花を咲かせることから、その名前がついたとされています。
また、聖ヨハネの日には家の扉や教会にヒペリカムを吊るしておくと、悪霊を追い払えると言われていたのだとか。
その他、精神疾患等が「悪霊に取り憑かれた」と思われていた時代なので、ヒペリカムのお守りを持ったり、ヒペリカムのお茶などを飲む風習もありました。
中世の修道院ではヒペリカムを育てていて、頻繁に使用していたため、「修道士の薬草」として特別扱いされていたようです。
ルネサンス期にはハーブ医学でヒペリカムの研究が進められる!

16世紀ごろになると、ハーブの研究者たちがヒペリカムの使用法を体系化させていきます。
中でもイギリスの薬学者である「ニコラス・カルペパー(Nicholas Culpeper)」という人物はうつ病や外傷、神経痛などに効果があると大々的に紹介、
民間療法からワンランクアップした形になりました。その後、「神の植物」として多くの国で使用されるようになります。
19世紀になるとヒペリカムの成分に注目が集まり、「ヒペリシン(Hypericin)」「ヒペルフォリン(Hyperforin)」などが抗うつ剤に使用されるようになります。
今でもドイツなどで軽度〜中程度のうつ病治療薬として使用されている植物です。なお日本では慎重な扱いを受けているので、使用はできません。
そして園芸品種として人気に

薬効が注目されるのと同時に、ヒペリカムは園芸品種としても人気を得ていきます。
特にころんとした実が綺麗だと評判!園芸だけではなく、フラワーアレンジメントや花束などのギフトに使用されることも多くなりました。
日本では花材としての方が有名で、今でもさまざまなフラワーギフトに使用されている植物です。
今出回っているヒペリカムは「ヒペリカム・アンドロサエマム(Hypericum androsaemum)」などが改良された品種だとされています。
日本でも薬草として使用されていた

ヒペリカムは日本でも古くから使用されてきた歴史があります。日本においての名前は「弟切草(オトギリソウ)」。聞いたことのある名前ですよね。
鎌倉時代にはすでに薬として使用されていたとされ、煎じて使い、切り傷や火傷などに効果があるとされてきました。痔にも効果があることから「痔草」という名前で呼ばれることもあったのだとか。
一部の地域では仏様に供える草として知られていたりするので、日本でも人間に密接に関わってきた植物だと言って良いでしょう。
江戸時代の本草学の本などにも記載があり、その頃には乾燥させたものも販売されるようになっていったそうです。
明治以降は観賞用の植物「ヒペリカム」として

明治時代にヨーロッパ原産の品種「小坊主弟切草(Hypericum androsaemum)」が黒船の如く登場!
これは実が綺麗な観賞用品種で、庭園や花壇を彩るようになりました。昭和になると真っ赤な色やピンクの色のヒペリカムが流通するように。
それと同時に薬としてのイメージは損なわれていきます。日本でもサプリメントとして使用されているようですが、お医者さんの指導のもと使用する必要があるそうです。
ヒペリカムはどういった時に贈る?

ヒペリカムは基本的に単一で飾ることは少なく、他のお花と一緒に花束やフラワーアレンジメントなどに使用されることの多い花材です。
主役になることも少ないのですが、実ものが入ると質感の違いでクオリティの高い出来栄えになり、フローリストはよく使います。
花言葉もとっても素敵ですので、ヒペリカムに思いを託して大切な方にプレゼントすると素敵ですよ。
花束やフラワーアレンジメントなどに入れて

バラやダリアなど、人気のお花に合わせてヒペリカムを入れると、フラワーギフト全体がパリッと締まります。
これはヒペリカムのツヤツヤとした質感が加わるからで、テクスチャの違いによって奥深い出来栄えと成るのです。
ヒペリカムは通年で出回りのある花材ですので、季節の旬のお花と合わせても素敵。
花言葉の「きらめき」に思いを託して誕生日や結婚記念日のプレゼントとして花束やフラワーアレンジメントを贈ったり、
花言葉の「悲しみは続かない」に気持ちを乗せて、お供えのフラワーアレンジメントなどに入れてお贈りください。
秋なら「紅葉ヒペリカム」がおすすめ!
秋になると葉っぱが黄色〜赤に染まった「紅葉ヒペリカム」の出回りが始まります。
紅葉したヒペリカムは葉っぱの色合いが綺麗で、秋の雰囲気をたっぷりと楽しむことのできる人気の枝ものです。
もちろんフラワーアレンジメントや花束に入れ込んで「秋の花束」として楽しむのもの素敵ですが、
紅葉ヒペリカムだけを花瓶に入れて飾るのもおすすめです。お部屋に秋の雰囲気を呼び込んでくれますよ。
季節の枝もの50~60cm「紅葉ヒペリカム」5本
¥6,600-
まとめ

ヒペリカムの花言葉は「きらめき」「悲しみは続かない」です。どちらも前向きな花言葉で、さまざまなシーンに贈ることができます。
誕生日や結婚記念日のプレゼントに贈るのであれば「きらめき」に想いを託して。お供えのアレンジメントであれば「悲しみは続かない」に想いを託して。
ヒペリカムだけをプレゼントに贈ることはあんまりありませんので、実ものとしてフラワーアレンジメントや花束に加えてお贈りください。
Apr 18, 2025