浅間山麓・高橋植物園取材レポート 〜根付きのもみの木と、土と人が紡ぐ物語〜
火山のふもとで生まれた土と気候
浅間山の北麓に広がる畑を歩くと、土の色が黒くて軽いことに驚かされます。この地域の表土は火山灰が厚く堆積してできた黒ボク土で、地元では長く「のぼう土」と呼ばれ痩せた土地の代名詞でした。しかし第二次世界大戦後、火山灰土壌が有機物を抱え込んで植物に養分を与えにくい性質であることが分かり、化学肥料や排水改良の進歩によって開拓が進んだのです。
黒ボク土は粗い石が少なく粒が小さいため根が伸びやすく、適度な保水力と豊富な腐植を持ち、根菜類にも適した土壌だったことも見直されました。こうした改良のおかげで、現在の北麓は乳牛やジャガイモ、キャベツなどの大産地となっています。
この黒い土に混じる軽石も、火山の贈りものです。軽石は粘り気のあるマグマからガスが抜けて泡立ったまま急冷することで生まれる岩石で、穴だらけのため水に浮くほど軽量です。
浅間火山では灰色や黒色の軽石やスコリアが降り積もり、高橋植物園のモミの木畑には握ると崩れるほど軽い粒がごろごろしています。
この多孔質な軽石のおかげで土はよく水を通し、風が吹き抜ける高原の気候と相まって根腐れしにくい。寒さに強く湿り気を好むモミの木には理想的な環境です。高橋植物園の園主高橋さんも、「土を作るのは火山と先祖の努力のおかげ」と笑っていました。
畑から聞こえる花屋と庭師の視点
浅間山の裾野で何十年も前から苗木を育てている高橋植物園は、生産畑であるため突然の訪問はできませんが、公式サイトの通り数十センチから数メートルまで幅広いサイズの樹木を全国に出荷しています。
種を採るのは今も家族総出の手作業で、89歳のおばあちゃんが殻を割り、子どもたちも手を貸しているのだそうです。
時間と手間をかけて育てられた一本一本がどのように使われるのか、園主高橋さんは楽しそうに語ってくれました。
花屋と庭師の目線の違いについて尋ねたときの対話は特に印象的でした。
花屋は店頭での見栄えやツリーの完成度を重視し、葉がぎゅっと詰まってフォルムが整った個体を好み。
一方、庭師は庭に置いたときの「抜け感」を大切にし、枝葉の間に光と風が通り抜ける余白を選びます。
同じモミの木でも飾る場所や役割で求められる姿が異なることに、園主高橋さんは「同じ植物でも使う人によって見る目線が違くて面白いんだよなぁ」と目を細めていました。
モミの木の価値と可能性
歩きながらお話を伺っている中、10mはある大きなツリーの前で足が止まりました。
そのツリーは上部の葉が落ちてしまい、商品にはならないそうで、どう処分して土に返すか説明してくれたのです。
確かに、上部の葉が落ちてしまいモミの木としての市場価値は低くなっているかもしれません、しかし下の葉は瑞々しくハリがあり、そのまま装飾にできそうなほど立派な葉だったのです。
これは装飾やイベントに使えるのかも!?そんな再利用の話をすると、農家さんは「お客さんの声はなかなか聞けないから、そんな価値があるんだね」と喜んでいました。
森の資産をより魅力的に伝えるヒントが、こうした会話の中から生まれていくのかもしれません。
もみの木に触れて感じた生命力と香り

高橋植物園で育てられているのは日本固有種のウラジロモミ(Abies homolepis)です。葉の裏側が銀色に光り、柔らかい針葉が手に優しいこの木は、年に30 cmほどとゆっくり成長していきます販売可能になるまでにはおよそ3~4年かかるそうです。
一面に広がる3年もののモミの木を眺めながら、群馬の山の3年という時間がギュッと詰まっているモミの木は宝石のような美しさを感じずにはいられませんでした。
モミ類の中では大気汚染に比較的強い一方で、やや酸性の湿った土壌を好み、乾燥を嫌う性質があります。実際、園主は夏場でも乾かないように定期的に散水すると話していました。
モミ類の中では大気汚染に比較的強い一方で、やや酸性の湿った土壌を好み、乾燥を嫌う性質があります。
育て方のポイント
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水やり: 根付きのもみの木は乾燥が大敵です。特に鉢植えの場合、土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えましょう。地植えの場合も、植え付け直後や乾燥が続く夏場は水やりが必要です。根鉢が乾かないように注意してください。
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置き場所: 日当たりと風通しの良い場所を好みますが、強い西日は避けましょう。涼しい気候を好むため、夏場は半日陰になる場所が理想的です。室内で楽しむ場合は、暖房の風が直接当たらない、明るく涼しい場所に置いてください。
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土壌: 水はけと水持ちの良い、やや酸性の土を好みます。「お育てセット」には専用の用土が含まれています。
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肥料: 基本的にあまり必要としませんが、成長期(春)に緩効性の肥料を少量与えると良いでしょう。
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剪定: 自然な樹形を楽しむのが一般的ですが、形を整えたい場合は冬に軽い剪定を行います。ただし、強い剪定は樹勢を弱めることがあるので注意が必要です。特に、頂点の芽(頂芽)を切ると、きれいな円錐形になりにくくなります。
取材の日、私は高さ1 mほどの若木にそっと触れてみました。まだ柔らかな樹皮に指を押し当てるとしっとりと弾力があり、葉先からは爽やかな松脂の香りがうっすら立ちのぼります。針葉の裏側は銀白色で、陽光を受けると鱗粉のような細かな粉がきらりと反射しました。
実際に育てる際は、ゆっくりと成長する木として庭に植え、根鉢が乾かないように毎日水を与え、風が通る場所で長い時間軸で見守ってあげてくださいと園主高橋さんはアドバイスしてくれました。
国産ツリーの人気と「お育てセット」
近年は国産のクリスマスツリーへの関心が高まっています。輸入物のオレゴンファーが規制や価格高騰で入手しにくくなったことに加え、根付きの国産ツリーならクリスマス後に庭へ移植できるからだそうです。
高橋植物園のブログでも、テレビ番組で紹介された翌年にはインターネット販売分が300本以上売り切れ、シーズン途中で販売を終了したと報告されていました。
取材日も「今年の分は8月にもなると予約でいっぱいだよ」と聞き、人気の高さを実感しました。
&YOUKAENでもモミの木を「育てる楽しみ」を味わってほしいとの思いから、「国産もみの木 お育てセット」という商品も登場しています。
『クリスマスツリーにぴったり!国産もみの木約90cm そのまま植え替えができるお育てセット』のご紹介
&YOUKAENでは、もみの木を「育てる楽しみ」を手軽に味わってほしいとの思いから、「クリスマスツリーにぴったり!国産もみの木約90cm そのまま植え替えができるお育てセット」をご用意しました。
商品について
フレッシュな国産のもみの木を、根付き(根巻き状態)でそのままお届けします。 群馬県・吾妻郡にある、浅間山の火山灰土と水はけの良い軽石質の土壌を持つ「高橋植物園」で育った上質なもみの木。その中から、&YOUKAENのディレクターが樹形やバランスを見ながら1本ずつセレクトしました。お部屋に飾れば、森のようなやさしい香りが広がり、毎日の暮らしに本格的な北欧のクリスマスムードを運んでくれます。 もみの木の学名「アビエス(Abies)」は「永遠の命」を意味し、クリスマスツリーとしてだけでなく、新築祝いや結婚祝い、出産祝いなど、未来への願いを込めた贈り物にもおすすめです。 ※画像はイメージです。実際にお届けの商品ではございませんのでご注意ください。
クリスマスの後はシンボルツリーに
クリスマスが終わったあとは、お庭や大きめの鉢に植え替えて「シンボルツリー」として育てていくことも◎。家族の成長をともに見守る一員として、長く寄り添ってくれる存在になります。
商品セット内容
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国産 天然もみの木 (根巻き状態 / 高さ約90cm)
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ポット (鉢)
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土 (専用用土)
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植え替え方法のリーフレット
商品仕様
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群馬県産 天然もみの木 (ウラジロモミ)
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もみの木は、麻布で根と土を巻いた根巻きの状態でお届けします。
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毎日たっぷりと水やりを続ければ、約1ヶ月ほどフレッシュな状態を保つことができます。
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植え替え方法が記載されたリーフレットが付属しますので、初心者の方でもご安心して植え替えをしていただけます。
注意事項
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※天然木の性質上、根巻きのまま長期で育て続けることはできません。お楽しみいただいたあとは、地植えまたは鉢に植え替えをお願いします。
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※天然木のため、葉が落ちることがございます。
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※自然の中で育った木のため、ごく稀に小さな虫やゴミが混入する場合がございます。
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※オーナメントは付属しておりません。
浅間山麓で高橋さんが愛情込めて育てた、特別なもみの木をご自宅で育ててみませんか?
よくある質問(FAQ)
Q: もみの木は庭に植えられますか?注意点は?
A: はい、ウラジロモミは庭植えに適しています。水はけと日当たりの良い場所を選び、植え付け直後は乾燥しないように水やりをしっかり行ってください。成長は比較的ゆっくりですが、最終的には大きくなるため、植えるスペースを考慮しましょう。
Q: 鉢植えでもみの木を育てるコツは?
A: 水切れに注意し、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えてください。夏場は半日陰の涼しい場所に移動させると良いでしょう。数年に一度、根詰まりを防ぐために一回り大きな鉢に植え替えることをおすすめします。「お育てセット」付属のリーフレットもご参照ください。
Q: クリスマスが終わった後、もみの木はどうすればいいですか?
A: 根付きのもみの木は、クリスマス後も育て続けることができます。室内で楽しんだ後は、徐々に外気に慣らしてから、庭に植えたり、より大きな鉢に植え替えたりしてください。そのままシンボルツリーとして楽しめます。
Q: もみの木の種類にはどんなものがありますか?ウラジロモミの特徴は?
A: もみの木には様々な種類がありますが、クリスマスツリーとしてよく使われるのは、ウラジロモミ、モミ、ドイツトウヒ、オレゴンモミなどです。ウラジロモミは日本の固有種で、葉の裏が白いのが特徴で、比較的育てやすい種類とされています。この「お育てセット」のもみの木もウラジロモミです。
Q: もみの木と似ている木はありますか?
A: トウヒ(ドイツトウヒなど)やツガなどが似ています。葉の付き方や球果(松ぼっくり)の形などで見分けることができます。
配送は北海道には追加料金が必要で、沖縄や離島には届けられないのでご了承ください。
土と人の物語、おわりに

火山が残した黒い土と軽石、風が吹き抜ける高原の気候。そして先祖から続く農家の努力。
この三つの要素が浅間山のふもとでもみの木を育んでいます。黒ボク土はかつて「役立たず」と呼ばれましたが、戦後の改良により根菜や牧草に適した土壌であることが見直され、軽石の隙間は根を支え排水性を高め、もみの木の成長を助けています。
一本のツリーの裏側には、自然の循環と人の手による丁寧な育成が織りなす物語があります。その物語を知ることで、飾る瞬間の木がより愛おしい存在に感じられたら嬉しいです。本物のもみの木の香りと共に、素敵なクリスマスシーズンをお過ごしください。
Oct 07, 2025
